鼠径ヘルニアの解説
足の付け根にしこり(膨らみ)でお悩みではありませんか?
これは鼠径ヘルニア(脱腸)という病気かもしれません。
どのような病気なのか詳しく解説いたします。
鼠径ヘルニア(脱腸)とは?
ー男性の3人に1人が生涯で罹患する病気ー
太ももの内側の足の付け根の部分を鼠径部(そけいぶ)と言います。
鼠径部には筋肉の隙間が空いており、ここからお腹の中の臓器(内臓脂肪や腸)が皮膚の下まで飛び出る病態を「鼠径ヘルニア」と言います。脱腸とも呼ばれます。
男性の3人に1人、女性の20人に1人が生涯に発症する病気であり、決して珍しくありません。
年間の手術数は約18万件で、外科の中では最も手術数が多い疾患です。
放置すると、命に危険が及ぶ「嵌頓(かんとん)」という状態になります。
鼠径ヘルニアの原因
何が原因で鼠径ヘルニアになるの?
人間の腹の壁は筋肉と構成されていて、その表面は皮膚、内側は腹膜に覆われています。
腹壁は足の付け根(鼠径部)あたりに内鼠径輪と呼ばれる筋肉の隙間があります。
ここは体内で作られた精巣が陰嚢まで降りる時に腹壁を通過したり、女性の場合は子宮を支える靭帯が通ったりします。
また、鼠径部は人体の中で圧がかかりやすい場所です。
鼠径部に圧がかかると、腹膜(筋肉を内側から覆う膜)が内鼠径輪から袋状になって皮膚の下まで飛び出してしまいます。
この袋の中に内臓が出ると、“鼠径部(足の付け根)のしこり”として触知します。
どんな人がなりやすいの?
解剖学的には男性がなりやすい病気であり、また加齢により筋肉の萎縮も発症リスクです。
そのため、患者様の中で最も多いのは中高年の男性となります。
職業としては立ち仕事を多くしている方、生活習慣では肥満や便秘気味、咳を良くする方がなりやすく、趣味で筋トレをしている方がなりやすいです。
そう、お腹に力が入ることが多いと、発症リスクが高まってしまうのです。
鼠径ヘルニアの症状
鼠径ヘルニアの症状 –進行すると命の危険も-
典型的な症状は、足の付け根(鼠径部)に鶏の卵大のしこり(膨らみ)を触れ、立つと大きくなり、横になったり力を抜くとしこりが消失します。
一般的には腸管が出てきますが、膀胱が脱出することもあり、その場合は排尿障害も伴うことがあります。
出る腸管の量が多くなると、鼠径輪で腸管が締め付けられて痛みを感じるようになります。
これは危険のサインで、嵌頓の可能性が高まっている証拠です。
嵌頓すると、最終的には腸管が壊死し、腹膜炎から全身の敗血症となってしまいます。
自然に治ることはある?治療はどうすれば良い?
ヘルニア嚢(腹膜の袋)に出た腸管がお腹の中に戻ると鼠径部の膨らみも消えますが、ヘルニア嚢自体が自然と元に戻ることはありません。
治療には必ず手術が必要になります。
手術では、如何に筋肉の隙間を処理して腸管が再度脱出しないようにするかが肝要です。
成人の鼠径ヘルニア修復術では、メッシュという人工の網を使って筋肉の隙間を覆うのが一般的です。
メッシュを入れる方法は、お腹を5~7㎝ほど切開する鼠径部切開法と5mmの傷を3個だけ空けて行う腹腔鏡法があります。
腹腔鏡法は身体へのダメージが少ない手術であり、日帰りで行う事も可能です。
鼠径ヘルニア自己診断リスト
手で押し込んだり、横になるとしこりが消えてしまう。
下腹部の違和感や、お腹が引っ張られたような不快感を感じる。
お腹が張っていることがある。
膨らみの部分が痛い。
当てはまる項目がある方は鼠径ヘルニアの可能性が高いと言えます。
鼠径ヘルニアが気になる方はぜひチェックしてみてください。
当院へご相談ください
当院は広島駅から徒歩約5分の鼠径ヘルニア日帰り手術を専門としたクリニックです。
鼠径ヘルニアかどうか分からなくても構いません、鑑別すべき疾患含めて責任もって診察いたします。
土日祝日も診療しているので、電話やLINEでお気軽にご相談ください。