こんにちは、鼠径ヘルニア日帰り手術の広島アルプスクリニックです。
鼠径ヘルニアと聞くと、多くの方は鼠径部(足の付け根)のふくらみを思い浮かべるかもしれません。
しかし、実はふくらみが見られない鼠径ヘルニアも存在するのです。このタイプは「隠れヘルニア」や「不顕性ヘルニア」とも呼ばれ、見逃されやすい特徴があります。
今回は、このふくらみのない鼠径ヘルニアについて専門医が詳しく解説します。
鼠径ヘルニアとは
お腹の中の臓器(主に腸)が、足の付け根(そけい部)の筋肉の隙間から飛び出してくる状態を鼠径ヘルニアと呼びます。
一般的には「脱腸(だっちょう)」という名前でも知られています。立ったときにボコッと膨らみ、寝ると引っ込む傾向があります。早めに治療することで、日帰り手術での治療が可能です。
ふくらみのない鼠径ヘルニアとは?
ふくらみのない鼠径ヘルニアは、外見上の変化が少ないか全くないにもかかわらず、内部では腹腔内の組織が鼠径管に入り込んでいる状態を指します。
一般的な鼠径ヘルニアと同様に治療が必要ですが、診断が難しいことが特徴です。
主な症状
ふくらみは見られませんが、以下のような症状が現れることがあります:
- 鼠径部の違和感や痛み
- 腹圧をかけたとき(咳やくしゃみ、力んだとき)の違和感
- 立っているときや長時間の活動後の不快感
- 鼠径部の重さや引っ張られる感覚
これらの症状は、日常生活の中で徐々に現れることが多く、慢性的な不快感として感じられることもあります。
診断の難しさ
ふくらみのない鼠径ヘルニアは、以下の理由から診断が難しいケースがあります:
- 外見上の変化がないため、自己診断が困難
- 症状が軽微であったり、他の疾患と似ていたりすることがある
- 医師による詳細な問診と身体検査が必要
- 場合によっては、超音波検査やMRIなどの画像診断が必要
発見のタイミング
ふくらみのない鼠径ヘルニアは、以下のようなタイミングで発見されることが多いです:
- 定期健康診断で偶然発見される
- 他の症状で受診した際に、医師の診察で発見される
- 慢性的な不快感や痛みの原因を調べる過程で判明する
注意すべきポイント
- ふくらみがなくても、症状が進行する可能性があります
- 放置すると、通常の鼠径ヘルニアと同様に症状が悪化する恐れがあります
- 早期発見・早期治療が重要です
治療法
ふくらみのない鼠径ヘルニアの治療法は、通常の鼠径ヘルニアと同様です
- 経過観察:症状が軽微な場合、定期的な検査で経過を見守ることもあります
- 手術治療:症状が進行している場合や、患者さんの希望に応じて手術を行います。現在は低侵襲な腹腔鏡手術も選択肢の一つです
まとめ
ふくらみのない鼠径ヘルニアは見逃されやすいものの、適切な治療が必要な疾患です。
鼠径部に違和感や痛みがある場合は、たとえふくらみがなくても、専門医に相談することをおすすめします。
当クリニックでは、ふくらみの有無にかかわらず、鼠径ヘルニアの疑いがある全てのケースに対して、丁寧な診断と個々の患者さんに適した治療方針の提案を行っています。
少しでも気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。