知っておきたい!鼠径ヘルニアを放置する危険性

皆さんは、鼠径ヘルニアの症状があっても「そのうち治るだろう」「今は忙しいから」と放置していませんか?
実は、この「様子見」が思わぬ危険を招く可能性があるのです。
今回は、鼠径ヘルニアを放置することの危険性について、詳しくお話ししていきましょう。

目次

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアは足の付け根(そけい部)の筋肉や腱が弱くなり、腸が脱出してこぶのように膨らむ病気です。
腸管以外の臓器が脱出することもありますが、腸管が脱出することが最も多いので「脱腸」とも呼ばれます。
立ったとき、力んだとき、咳をしたときに膨らみが目立ちやすく、横になると自然に戻ることが特徴です。
加齢による筋力低下や、重い物を持ち上げる、慢性的な咳、便秘など、お腹に圧力がかかることで発症しやすくなります。
特に男性は解剖学的な構造上、発症リスクが高いとされています。

放置されがちな理由とその危険性

鼠径ヘルニアは、実は多くの方が放置してしまいがちな病気です。
痛みがそれほどひどくない、横になると症状が改善する、仕事が忙しい、手術が怖い、年齢的に仕方ないと諦めているなど、その理由は様々です。

しかし、この「様子見」が重大な事態を招くことがあります。
特に警戒すべきなのが「嵌頓(かんとん)」という状態です。
これは、飛び出た腸が戻らなくなってしまう深刻な状態のことです。
嵌頓が起きると、激しい痛みや吐き気、嘔吐、腹部の膨満感、発熱などの症状が現れ、緊急手術が必要となります。
最悪の場合、腸が壊死してしまう可能性もあるのです。

また、放置を続けることで、症状は徐々に進行していきます。
ヘルニアの膨らみが大きくなり、痛みも強くなっていきます。
そうなると、日常生活での制限が増え、運動や仕事にも支障が出てきます。
結果として、生活の質が著しく低下してしまうことになります。

要注意!こんな症状が出たらすぐ病院へ

特に注意が必要なのは、突然の強い痛みや、膨らみが硬くなって戻らない状態、吐き気や嘔吐、発熱、お腹全体が張ってくるといった症状です。

これらの症状が出現した場合は、緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診する必要があります。

早期治療のメリット

一方、早めに治療を始めることには、多くのメリットがあります。まず、手術の選択肢が広がります。
腹腔鏡手術や場合によっては日帰り手術も選択できる可能性が高くなります。
また、組織の損傷が少ないため、術後の痛みも比較的軽く、日常生活への復帰も早くなります。

まとめ:早期発見・早期治療が大切

鼠径ヘルニアは、決して放置してはいけない病気です。
特に、足の付け根が膨らんでいる、重いものを持つと痛む、立っているときに違和感があるといった症状がある方は要注意です。
現代の治療法は進歩しており、早期に治療すれば、負担の少ない手術で改善が期待できます。

「様子を見よう」という考えは、実は危険をはらんでいます。些細な症状でも、まずは専門医に相談することをお勧めします。
あなたの健康のために、鼠径ヘルニアを放置するという選択肢は避けましょう。
早期発見・早期治療が、この病気との付き合い方の基本なのです。

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