こんにちは、鼠径ヘルニアの日帰り手術を専門とする広島アルプスクリニックです。
鼠径ヘルニアは、多くの人が経験する一般的な健康問題です。しかし、その危険性についてはあまり知られていません。
この記事では、鼠径ヘルニアとは何か、その危険性、そして対処法について詳しく説明します。
鼠径ヘルニアの症状
鼠径ヘルニアは、腹部の内容物(主に腸管や脂肪組織)が鼠径部(そけいぶ:下腹部と大腿部の境界にある部位)の弱い箇所から飛び出す状態を指します。
これは、男性に多く見られますが、女性にも発生することがあります。
鼠径ヘルニアの危険性
腸管が出たり戻ったりする限りは大丈夫ですが、出たっきり戻らなくなる危険な状態= “嵌頓” になることがあります。
嵌頓すると以下のような症状を来します。
1.鼠径部の痛み
嵌頓の原因は腸管が充血するからです。充血した腸管は太くなり、相対的に腸管の締め付けが更にひどくなり、最終的には血流が低下してしまいます。腸管の虚血が痛みとして感じられます。
2.腹部膨満感
嵌頓し腸管が充血すると、腸管内腔が狭くなり腸内容が先に進まなくなります。これにより腸閉塞の状態になってしまい、ヘルニアより口側の腸管が拡張し、食べたものが滞留し、腹部膨満感として感じれらます。
3.腹部全体の痛み
嵌頓してから約8時間ほどで腸管虚血により腸管壊死に至ります。壊死した腸管の壁からは便中が腹腔内に漏れ出し、腹膜炎となります。こうなると痛みは鼠径部だけでなく、腹部全体に広がります。緊急手術が必須の状態です。
対処法
1.早期発見・早期治療
定期的な自己検査: 鏡の前で立ち、鼠径部に異常な膨らみがないか確認しましょう。
症状の認識: 鼠径部の痛み、違和感、しこりなどの症状に注意を払いましょう。
迅速な医療相談: 疑わしい症状がある場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。鼠径ヘルニアの診療は一般的に消化器外科で行われます。
2.手術
従来の開腹手術: 大きな切開を必要とする伝統的な方法です。
腹腔鏡手術: 小さな切開で行う低侵襲手術で、回復が早いのが特徴です。
メッシュ補強: 多くの手術で、ヘルニアの再発を防ぐためにメッシュを使用します。
術後のケア: 医師の指示に従い、適切な休養と段階的な活動再開が重要です。
3.定期的な経過観察
医師との連携: 軽度のヘルニアの場合、定期的な検診で状態を確認します。
症状日記: 日々の症状や変化を記録し、医師との相談時に活用しましょう。
画像診断: 必要に応じて、超音波検査やCTスキャンで経過を観察することがあります。
4.定期的な経過観察
ヘルニアの還納: 軽度の場合、横になって腹部をマッサージすると戻ることがあります。
医療機関の受診: 還納できない、痛みが強い、吐き気があるなどの症状がある場合は、すぐに救急外来を受診しましょう。
5.サポート用品の利用
適切な下着: きつすぎない、適切なサイズの下着を選ぶことも重要です。
ヘルニアベルト: 医師の指導のもと、適切なサポートベルトを使用することで症状を軽減できる場合があります。
予防法
鼠径ヘルニアを確実に予防することは出来ません。
しかし、以下の点に注意すれば鼠径ヘルニアになるリスクを軽減することは可能です。
〇適切な姿勢で重い物を持ち上げる(腰ではなく膝を曲げて)
〇過度の重量物は避け、必要に応じて補助具や複数人で作業する
〇定期的な休憩と適度なストレッチ
〇適正体重の維持
まとめ
鼠径ヘルニアは決して軽視できない健康問題です。早期発見と適切な治療が、合併症のリスクを大幅に減らし、生活の質を向上させる鍵となります。予防と管理のために、日々の生活習慣の改善に取り組むことが大切です。
心配な症状がある場合は、躊躇せずに医療機関を受診しましょう。
当クリニックでは、腹腔鏡による日帰り手術をご提供していますので、お気軽にご相談ください。