巨大鼠径ヘルニアについて ~脱腸を放置するとこんなに大きくなる~

こんにちは、鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り手術を専門とする広島アルプスクリニックです。

本日は巨大鼠径ヘルニアについて、専門医が詳しく説明させていただきます。

鼠径ヘルニアとは


鼠径ヘルニアとは、腹腔内の臓器(主に腸管や大網)が腹壁の脆弱部分から皮下に脱出する状態です。

一般的に脱腸とも呼ばれ、立位で増強し、臥位で軽減する膨らみとして認められます。

多くの場合、そけい部(鼠径部)の膨らみや違和感、痛みなどの症状がみられます。放置すると次第に大きくなり、重大な合併症を引き起こす可能性があります。

巨大ヘルニアの定義について

鼠径ヘルニアは放置すると嵌頓するリスクがありますが、嵌頓せずに経過するとどんどん膨らみが大きくなり、巨大鼠径ヘルニアへと進行してしまいます。

巨大鼠径ヘルニアとは、陰嚢まで及ぶような大きなヘルニアや、さらに進行して膝関節付近まで達するもの、あるいは腹腔内臓器の30%以上が脱出している状態を指します。

症状と合併症

巨大鼠径ヘルニアになると、日常生活に重大な支障をきたすようになります。歩行が困難になり、排尿にも障害が出てきます。

また、ヘルニアによって皮膚が過度に伸展されることで潰瘍や湿疹といった皮膚の変化が現れることもあります。

さらに、腹部膨満感や便秘、その他の消化器症状も出現してきます。

合併症としては、通常の鼠径ヘルニアよりも嵌頓のリスクが高まります。

また、皮膚のトラブルや腸閉塞を引き起こす可能性があり、ヘルニアを還納した後には呼吸困難を来すこともあります。

      日臨外会誌 83( 7 ),1374―1379,2022

治療上の課題

巨大鼠径ヘルニアの手術には、通常の鼠径ヘルニア手術とは異なる様々な困難が伴います。

長期間腹腔外に出ていた臓器を腹腔内に戻す還納操作が難しく、手術時間も長くなります。

また、還納後の腹腔内圧上昇により、術後の呼吸管理が特に重要となります。

さらに、大きな手術創により感染リスクも高くなります。

そのため、手術前の準備が非常に重要です。

適切な体重管理を行い、呼吸機能を評価し、必要に応じて呼吸リハビリテーションを行います。

また、栄養状態の改善や皮膚状態の改善なども、手術の成功には欠かせない要素となります。

予防と早期発見の重要性

巨大鼠径ヘルニアを予防するためには、小さなヘルニアの段階での治療が非常に重要です。

定期的な健康診断を受け、早期発見に努めることをお勧めします。

また、肥満や便秘などのリスク因子を適切に管理し、適度な運動や食事管理などの生活習慣の改善も心がけましょう。

まとめ

巨大ヘルニアの治療では、手術のタイミングや方法の選択が特に重要です。

症状が出始めたら、すぐに専門医への受診をお勧めします。

適切な治療計画を立て、術前準備を十分に行うことで、より安全な手術が可能となります。

鼠径ヘルニア(脱腸)でお困りの方は当院へ

当院は広島駅前で、鼠径ヘルニアの日帰り手術を専門としております。

症例を集中させることで診断と治療の質が向上し、難治症例にも対応しております。

鼠径部の腫脹でお困りの方は、お気軽に当院へお問い合わせください。

目次