鼠径ヘルニアの手術後の生活について

こんにちは、鼠径ヘルニア日帰り手術の広島アルプスクリニックです。
鼠径ヘルニアの手術を受けられた患者さまにとって、最も気になるのが「いつから普通の生活に戻れるのか」「何に気をつければいいのか」といった点ではないでしょうか。


当クリニックでは、腹腔鏡を用いた最新の手術方法により、患者さまの負担を最小限に抑えた日帰り手術を提供しています。
従来の開腹手術と比べて傷口が小さく、術後の痛みも少ないのが特徴です。
しかし、どんなに低侵襲な手術でも、術後の適切なケアは回復への重要な鍵となります。
今回は、手術後の生活で注意していただきたいポイントについて、詳しくご説明させていただきます。

目次

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアは、足の付け根(そけい部)の筋肉や腱が弱くなることで発症する疾患です。
この部分の組織が脆弱化することで、本来あるべき場所にとどまっているはずの腸が腹壁の隙間から飛び出してしまい、皮膚の下にこぶ状の膨らみとして現れます。
立ち上がったときや咳をしたとき、重い物を持ち上げたときなどにこの膨らみが目立つようになり、横になると自然に戻るという特徴があります。

特に男性は解剖学的な構造上、発症リスクが高いとされています。
また、加齢による筋力の低下や、重労働、慢性的な咳、便秘など、お腹に圧力がかかる状況が続くことで発症リスクが高まります。
放置すると、腸が絞められて血流が途絶える「嵌頓(かんとん)」という重篤な状態を引き起こす可能性もあるため、早期の治療が推奨されます。

鼠径ヘルニアの日帰り手術

近年の医療技術の進歩により、鼠径ヘルニアは日帰り手術での治療が可能となりました。
当クリニックでは、患者さまの負担を最小限に抑えた腹腔鏡手術を採用しています。
腹腔鏡手術は、お腹に数個の小さな穴(5-10mm程度)を開けて行う手術で、従来の切開手術と比べて術後の痛みが少なく、回復が早いという大きな利点があります。

手術時間は通常1時間程度で、局所麻酔と十分な鎮静剤の使用により、痛みをほとんど感じることなく手術を受けていただけます。
また、傷口が小さいため、術後の痛みも最小限に抑えられ、美容的にも優れています。
殆どの患者さまは手術当日の帰宅が可能で、早ければ手術翌日から普段の生活に戻ることができます。

日帰り手術後の生活

術後の清潔ケアについて

手術後の傷口のケアは、感染予防の観点から非常に重要です。
手術当日からシャワーを浴びることは可能ですが、手術部位は優しく扱う必要があります。
手術部位をこすったり強く擦ったりすることは避けて、創部は常に清潔に保つように心がけましょう。
術後3日目からは入浴も可能となり、この時点で創部のテープを自身で除去していただきます。
テープ除去後も創部は刺激を与えないよう、泡を使って優しく洗うようにしましょう。
傷口の治癒状態に不安がある場合は、遠慮なく当クリニックにご相談ください。

飲酒・喫煙について

手術後の回復を順調に進めるために、飲酒と喫煙には特に注意が必要です。
アルコールは手術当日は絶対に控えていただき、術後3日目までは禁酒をお願いしています。
4日目以降は、体調を見ながら適度な飲酒は可能です。
喫煙に関してはより慎重な対応が必要で、手術当日から術後7日目までは完全な禁煙をお願いしています。
これは、喫煙が傷口の治癒を遅らせ、合併症のリスクを高める可能性があるためです。

運動・活動制限について

手術後の活動再開は、段階的に行っていただくことが重要です。
術後1日目からデスクワークなどの軽作業は可能ですが、重い物を持ち上げるなどの負荷がかかる動作は避けてください。
術後3日目からは軽いウォーキングなどの軽運動が可能となります。
通常の運動(ジョギングやジム通いなど)は術後5日目以降に再開できますが、急激な運動は避け、徐々に強度を上げていくようにしましょう。
職場への復帰時期については、お仕事の内容に応じて個別に調整させていただきます。
デスクワークが中心の方は比較的早期の復帰が可能ですが、重労働や立ち仕事が多い方は、より慎重な対応が必要です。

日常生活での注意点

術後の快適な生活のために、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、体重管理は非常に重要です。過度な体重増加は手術部位への負担を増やし、再発のリスクを高める可能性があります。
また、便秘の予防も重要です。十分な食物繊維の摂取と水分補給を心がけ、自然な排便を促すようにしましょう。
咳やくしゃみをする際は、手術部位に急激な圧力がかからないよう、お腹を手で軽く押さえることをお勧めします。

違和感や痛みが続く場合の対応

術後に違和感や痛みが続く場合は、我慢せずに私たちに相談することが大切です。
特に、強い痛みや発熱、手術部位の腫れや発赤がある場合は、すぐにご連絡ください。
些細な症状でも、早めに対応することで深刻な合併症を防ぐことができます。

まとめ

手術後の回復は、患者さんによって個人差があります。
上記のスケジュールはあくまで目安であり、実際の回復スケジュールは担当医の指示に従って進めていくことが重要です。
特に、腹腔鏡手術と従来の切開手術では、回復期間が異なることがあります。
ご自身の体調をよく観察しながら、無理のない範囲で日常生活に戻っていくことをお勧めします。

当クリニックでは、患者さまの術後の回復をしっかりとサポートさせていただきます。
些細なことでも気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
スタッフ一同、皆様の順調な回復をお手伝いさせていただきます。

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