鼠径ヘルニアの低侵襲手術とは

こんにちは、当院は鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り手術を専門するクリニックです。
鼠径ヘルニアの治療法として、近年注目を集めているのが低侵襲手術です。
このブログでは、低侵襲手術の概要、メリット、そして従来の手術法との違いについて詳しく解説します。

目次

1.低侵襲手術とは

低侵襲手術とは、患者さんの体への負担を最小限に抑えつつ、効果的に治療を行う手術方法です。
鼠径ヘルニアの場合、主に以下の2つの方法が用いられます

腹腔鏡下手術

【手術方法】
  お腹に3箇所の小さな穴(5〜10mm程度)を開け、二酸化炭素で腹腔を膨らませます。
  カメラを入れて腹腔内を観察しながら、器具を挿入して手術を行います。
【特徴】
  創が小さく、術後の痛みが少ない
  深部の観察が可能で、正確な修復ができる
  両側のヘルニアも同時に治療可能

小切開法

【手術方法】
  ヘルニアの部位に2〜3cm程度の小さな切開を入れて行います。
【特徴】
  局所麻酔で行える場合が多い
  直接ヘルニアを観察しながら修復できる
  手術時間が比較的短い

2. 低侵襲手術のメリット

  • 痛みの軽減: 傷が小さいため、術後の痛みが少なくなります。
  • 早期回復: 体への負担が少ないため、回復が早く、日常生活への復帰も早くなります。
  • 美容面: 傷が小さいため、術後の傷跡が目立ちにくくなります。
  • 合併症リスクの低下: 大きな切開を必要としないため、感染などのリスクが低くなります。
  • 入院期間の短縮: 多くの場合、日帰りや1泊2日程度の短期入院で済みます。

従来の手術法との違い

従来の開腹手術(前方アプローチ法)と比較すると、以下のような違いがあります

項目低侵襲手術従来の開腹手術
切開の大きさ 数mm〜3cm程度5〜10cm程度
術後の痛み少ない比較的多い
回復期間短いやや長い
手術時間場合により長くなることも一般的に短い
再発率同等同等
適応一部制限あり幅広い

注意点

低侵襲手術は多くのメリットがありますが、全ての患者さんに適しているわけではありません。
以下のような場合は、従来の手術法が選択されることがあります。

過去の手術歴

下腹部や骨盤部の手術歴がある場合、腹腔内に癒着が生じている可能性があります。
これにより腹腔鏡手術が困難になることがあるため、慎重な評価が必要です。

全身状態

心臓や肺の疾患がある方、高齢の方、肥満の方などは、腹腔鏡手術時の気腹(お腹に二酸化炭素を注入すること)に伴うリスクが高くなる場合があります。

まとめ

鼠径ヘルニアの低侵襲手術は、患者さんの負担を軽減しつつ効果的な治療を行うことができる優れた方法です。
ただし、個々の状況に応じて最適な手術法を選択することが重要です。

当クリニックでは、詳細な診断と丁寧な説明を行い、患者さんに最適な治療法を提案しています。
ご不明な点やご心配な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

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